夫や妻から「離婚したい」と告げられると、誰しもが大きな衝撃と不安に襲われます。しかし、そのまま感情的になっていては事態が悪化してしまうことも珍しくありません。本記事では、離婚を回避するために知っておきたい基本知識や具体的な修復方法を解説します。焦らず適切に対処し、関係修復の可能性を高めましょう。
離婚回避するための基本知識
離婚したいという言葉を突然突きつけられたとき、どう対応すれば良いのか迷う方は多いでしょう。怒りや落胆、焦りといった強い感情に振り回されると、つい感情的に責めてしまうこともあります。まずは離婚を回避するために、知っておくべき基本知識を押さえてください。どんな理由が背景にあれ、正しい順序で対処していくことが重要になります。

離婚を回避するために知っておくべきこと
離婚を言い出されたときには、冷静になって現状を把握するのが最初のステップです。焦って動いたり一方的に説得したりするのは逆効果になりがちです。下記のポイントを意識しましょう。
- 相手が「離婚したい」と考える原因をよく聞く
- 自分本位ではなく、夫・妻の気持ちを理解しようとする
- 時間を置いて冷却期間を設けるなど、結論を急がない工夫をする
- 調停や専門家のサポートなど、法的手続きや第三者の力も検討する
離婚話を持ち出されるまでに、パートナーは相当の悩みを積み重ねています。何が根本的な不満なのかを知る努力をしましょう。同居を継続できるかどうか、子どもの養育、経済的な問題など、多岐にわたる要素が絡んでいるケースも多いです。
夫・妻は実際にあなたに離婚を切り出すまで相当に悩んでから離婚したいと伝えて来たのです。
説得する前に夫・妻が離婚したいと思っている理由をきちんと聞いて下さい。
離婚に応じなくても良い場合
離婚は夫婦双方の合意であることが前提です。もし相手が一方的に離婚を求めても、離婚に応じなくてはならないわけではありません。法律上、夫婦の合意がまとまらなければ協議離婚にならず、調停や裁判が必要になることもあります。次のような考え方も重要です。
- 一方的な離婚要求に即応じる必要はない
- 調停が申し立てられた場合でも、関係修復という方向性で話を進められる
- 離婚の原因がはっきりしていないまま合意するのはリスクが大きい
相手に非がある場合は、裁判所で認められる正当な離婚事由に該当しなければ、法的には離婚が成立しない可能性もあります。自分が納得できるまで、その答えを保留するという選択は十分にあり得ます。

離婚を回避できるケース
離婚を回避できるかどうかは、さまざまな要因によって異なります。パートナーの気持ちや夫婦関係の現状、離婚を切り出すに至った原因などを総合的に見極める必要があります。ここでは、離婚を回避できる代表的なケースを解説します。
浮気など相手に非がある場合
パートナーが浮気をしているなど、相手に明らかな落ち度がある場合は、むしろあなたが「離婚に同意しない」という姿勢をとる選択肢が出てきます。法律上、浮気(不貞行為)は離婚原因になる可能性がありますが、浮気した側が「離婚したい」と主張しても簡単には認められない場合があるためです。
- 浮気があった側が責任を放棄するかのように離婚を迫るケース
- 不貞によって夫婦間の信頼が壊れたと主張されても、時期や頻度次第で法律上認められるとは限らない
- 浮気の事実を相手が隠している可能性があるなら、探偵や弁護士への相談も視野に入れる
このようなときに一番大切なのは、相手の浮気の事実や時系列を整理し、法的な観点でも対処方法を検討することです。

夫婦関係が破綻していない場合
「すでに夫婦仲が修復不能なほど冷え切っている」と見なされるかどうかは、法的にも重要なポイントです。実質的に夫婦関係が破綻しているとはいえない場合、離婚は認められにくくなります。たとえば、以下のような状況ならば関係修復の余地が残っているかもしれません。
- 別居の事実がなく、夫婦としての生活が続いている
- 口論やすれ違いはあるが、完全にコミュニケーションが断絶していない
- 子どもと家庭での日常的な交流がある
まだ夫婦関係が破綻とみなされるほどではない場合は、修復に取り組む余地があります。相手も本心では離婚に迷いがあることが多いので、焦らず話し合いの場を持ち続けましょう。

離婚回避できたた事例
離婚を言い渡された場合でも、さまざまなアプローチによって回避に成功した事例があります。
事実、時間をかけた話し合いや、誠意を示す行動によって相手の気持ちを少しずつ溶かし、一緒に歩む選択に至ったケースは少なくありません。

冷静な話し合いで解決した事例
ある夫婦では、妻が育児や家事の負担の大きさを苦にして離婚を考えるようになりました。しかし、夫が感情的になることなく、しっかりと妻の不満を受け止めたうえで家事の分担を見直す積極的な姿勢を見せたことで、妻は「実は離婚自体を心の底から望んだわけではない」と考え直し、離婚回避に至ったという事例があります。
- 妻の話に耳を傾け、どこに不満があるかを明確にした
- 言葉だけでなく、実際に家事や育児への協力姿勢を行動に移した
- 夫婦でのコミュニケーション時間を増やし、信頼関係を取り戻した
夫婦で同居し続けながら、冷静に対話をしたことで相手の「本音」を引き出せた点がポイントです。

手紙での謝罪が効果的だった事例
顔を合わせるとどうしても言い争いが絶えない環境だった夫婦の場合、改めて手紙を通して気持ちを書き綴ったところ、相手に真剣さが伝わり離婚回避につながったという話もあります。ただし、手紙は相手にプレッシャーを与えないタイミングや内容が重要です。相手を責めることなく自分の非を認め、これまでの苦労や痛みを理解しようとしている誠意を示すのがポイントでした。
- 相手を傷つけたことを具体的に謝罪する
- これから改善すべき点を自分の言葉で示す
- 無理やり回答を引き出そうとしない
ただし、相手がすでにあなたとの接触を極力避けている場合や、手紙そのものを拒否するほど感情的に限界を迎えているなら、逆効果のこともあります。相手の状態を考慮して選択してください。

離婚を回避するための具体的な方法
離婚回避を成功させるには、具体的に何をすれば良いのかを把握することが重要です。謝罪や改善を口で言うだけでなく、行動面でアピールしなくては相手の気持ちは変わらないかもしれません。
夫婦関係を再構築するために有効な方法を紹介します。

コミュニケーションを増やす
夫婦間のコミュニケーション不足は、多くの離婚原因に共通する大きな課題です。たとえば、共働きでお互いに忙しくなり、帰宅後はスマホばかり見ていて会話が減るというパターンはよくあります。そうならないためにも次のような工夫を取り入れましょう。
- 一日10分でもよいので、夫婦で近況を報告し合う時間を作る
- スマホやテレビは使わず、お互いの目を見て話すクセをつける
- 休日は一緒に買い物や散歩など、小さな外出を計画する
些細な会話でも継続して続けることで、「相手が今どう感じているか」を把握しやすくなります。

相手を尊重し受け入れる
夫や妻の意見を否定ばかりしていないでしょうか。自分の考えと合わないからといって、頭ごなしに否定すると相手との距離はどんどん開いてしまいます。そうならないために、相手の思いを尊重してください。
- 「それもそうだね」と一度受け止める姿勢を見せる
- 相手の考え方を理解するための質問を増やす
- 自分と違う意見でも、価値観の違いとしてまず受け入れる
相手を尊重されていると感じると、人は心を開きやすくなります。これが意見交換や歩み寄りの第一歩になります。

行動の振り返りと改善
口だけではなく、実際に行動が変わることで初めてパートナーは「本気で関係修復を考えているんだ」と安心感を得ます。具体的には以下を実践してみましょう。
- 日々の日記やメモをつけ、どのような場面で相手に不快感を与えたか振り返る
- 指摘された点について、自分ではどう原因を作ったのか分析する
- 感情的になりやすい環境を避け、落ち着いて話せる時間を確保する
行動を改善していく過程で、相手が「あなたが変わろうとしている」と実感できれば、修復のチャンスは格段に高まります。

離婚回避するために避けるべき行動
どれほど「離婚を回避したい」と思ってもしないほうが良い行動があります。勢いに任せて相手を責めたり、あるいは逃げ腰になってしまうと、結果として関係修復が難しくなる可能性が大きいです。以下の行動を避けることを意識しましょう。

感情的にならないこと
一番やってはいけないのは、離婚を切り出されたショックで激昂し、怒鳴り散らしたり泣き叫んだりする対応です。相手は「やはり話し合いにならない」と考え、ますます気持ちを固めてしまいます。
- 大声や暴言は厳禁
- 相手の言葉に即反発せず、まずは意図を汲み取る
- 嫌な気持ちが抑えきれないなら、一度場を離れて頭を冷やす
感情的になるほど、夫婦関係の修復には不利になります。

責めることを避ける
離婚話を切り出した相手には、何かしらの理由や不満があってのことです。それを「何で言うことを聞かないんだ」「浮気したほうが悪いんだ」と一方的に責め立てると、関係は険悪になるばかりです。
- 「あなたの言い分なんて理解できない」と突き放さない
- 「自分も至らない点がある」という姿勢を見せる
- 非難や攻撃的な言葉より、改善策を提案する
「責める」行為が長期間に及ぶと、相手の離婚意志はさらに強固になります。
別居を選択しない
「一度離れてお互いを見直したほうがいい」という発想で別居を選択する人がありますが、離婚回避を望むのであれば慎重に判断すべきです。別居すると以下のようなリスクが高まります。
- 日常的なコミュニケーションや接点が激減する
- 周囲が「もう離婚寸前の状態」と認識して、話し合いの機会が得にくくなる
- 別居期間が長引くと法的に「夫婦関係の破綻」を主張されやすくなる
同宅しながら一定の冷却期間をとる方法など、別居以外の選択肢を優先的に検討してみてください。
嘘を言わない
離婚騒動の場面では、つい相手を安心させようと過剰な嘘を言ってしまう場合もあります。「本当は浮気をしていたのに、していないと誤魔化す」「経済的状況を偽って取り繕う」などがそれに当たります。しかし嘘が発覚すれば、信頼関係は大きく損なわれ、離婚回避が難しくなるでしょう。
- 取り繕いたい気持ちを抑え、誠実に事実を伝える
- 説明が難しい内容でも、隠さずに正直に話す
- 相手の問いに対して曖昧な返答を避ける
両者間の信頼が回復されるには、誠実さがなによりも重要なポイントになります。

言い訳をしない
自分の非を指摘されたとき、「だって忙しかったから」「仕方なかったんだ」などと言い訳をすると、相手はさらに苛立ちを感じるものです。言い訳ではなく、まずは相手の言葉を受け止める姿勢を見せましょう。
- 責任転嫁せず、自分が引き起こした問題を明確に把握する
- 弁解より先に「どうすれば問題が改善できるか」を考える
- 「これから変わりたい」という意志を行動で示す
言い訳の頻度が多ければ多いほど、相手に「本気で悪かったとは思っていない」と思われかねません。
離婚届に関する重要な注意点
離婚話が進むと避けられないのが「離婚届」の問題です。相手が先走って勝手に提出してしまうリスクや、気持ちが揺れているうちに書類が準備されてしまう恐れもあります。ここでは、離婚届に関する大切なポイントを押さえてください。

無断で離婚届を提出させないための対策
相手が感情的になり、勢いで離婚届を提出してしまうことを防ぐためには、冷静に話し合いの場を保持し、手続きの重要性を双方が認識する必要があります。
- 相手に「離婚届だけはすぐに出さないでほしい」と伝えておく
- 家族や共通の友人にも呼びかけ、勝手な提出を止めてもらう
- 既に書いた離婚届がある場合は、自宅以外の場所に保管しないよう注意する
相手が強硬手段に出る可能性があると感じた場合は、後述の「離婚届不受理申出書」を即座に検討しましょう。

離婚届不受理申出書について知っておくべきこと
「離婚届不受理申出書」は、本人の意思に反して勝手に離婚届が提出されるのを防ぐための制度です。市町村役場で手続きが行えます。
- 離婚届が提出されそうな場合は早めに申請し、受理を防いでもらう
- 申出期間には有効期限がないため、安心して保留できる
- 提出時に本人確認書類や印鑑が必要
「相手がもう離婚届を書いてしまったため、いつ出されるか不安だ」という場合、速やかに役所へ出向いて対応を取るのが望ましいでしょう。

離婚を回避するための相談について
メールでの相談は無料
・離婚を回避できる可能性と修復に必要な期間の目安がわかります。
・夫婦仲を修復するための心構えと取り組みの流れがわかります。
・夫、妻が言葉にしていない離婚したい本当の理由がわかります。
離婚を切り出した夫・妻の心理を有資格者のカウンセラーが分析
お引き受けした案件の離婚回避の成功率は91.3%です。(1993年から2024年)
修復までの期間の目安は同居されている状態であれば6ヶ月から12か月です。
離婚回避するための問題点を前向きに改善する方法やコミュニケーションの改善のコツ、自分と相手との考え方の違いを理解することで的確に自分自身を変える方法など、離婚回避するために重要なポイントを整理することができます。
メール相談フォームから無料でのご相談を受け付けています。「もうひとりでは限界」「どうやって話し合えばいいのか分からない」など、どんなお悩みでもお気軽にお問い合わせください。
一人で悩まずお気軽にご相談ください。
プライバシーの保護についてですが、個人情報や相談内容は厳重に管理し、第三者に漏れることはありませんのでご安心ください。
プライバシーポリシー(個人情報保護方針)
難易度と有料サポートの料金について
サポート費用は修復に必要な期間と難易度で異なります。
・1ヶ月以内(難易度A)の対応は¥55,000です。
・6ヶ月以内(難易度B・C)のサポート期間で修復が見込めるケースは¥220,000からです。
・夫婦関係が拗れているケースでは7~10ヶ月(難易度D・E)のサポートで¥370,000から¥580,000(上限)です。
・10ヵ月以上(難易度F以上)のサポートが必要なケースでは¥580,000~です。
【難易度D以上の場合は分割払い可】
有料サポートの料金表
サポートによる専門的なアドバイスで離婚回避の可能性を高めることができます。
離婚回避についてのQ&A:よくある質問と回答
離婚回避を望む方からは、よく次のような質問が寄せられます。
- 離婚を避けるにはどんなアプローチをとれば良いの?
- 感情的にならず、まずは夫・妻の考えをしっかりと受け止めることが重要です。焦って結論を急ぐのではなく、冷静な意見交換を重ねましょう。
- モラハラを理由に妻から離婚したいと言われました。既に妻が実家に帰ってしまい別居状態です。その後、LINEに返事がないので何通もLINEを送り続けていたらブロックされてしまいました。どうすればいいですか?
- そのような対応の場合、奥様が本気で離婚を決意しています。実際に弁護士さんに相談するなど離婚調停の準備を始めているケースが多いです。しらばく奥様からの連絡や調停の書類の郵送を待って下さい。
- 妻から離婚したいと言われました。自分は子どもことが理由で離婚を回避したいと考えています。手紙を書きたいのですが、どんなことを書けばいいですか?
- 手紙が離婚回避に逆効果になるケースが多いです。謝りたいことは直接、話し合いで伝えて下さい。真摯に謝罪して気持ちを伝える方が安心感と説得力が高まります。
以上のように、離婚回避にはさまざまな手段とポイントがあります。
単に「離婚しないでほしい」と懇願するだけでは、相手は「どうせ口先だけだろう」と感じてしまうかもしれません。相手の言葉を尊重しながら、一歩ずつ行動を変えていく姿勢を見せることで、「もう一度チャンスを与えてみよう」という思いを引き出せる可能性が高まります。
離婚は一度成立してしまえば、財産分与や養育費のやり取りだけでなく、子どもとの生活環境、親族関係など、多岐にわたって影響が及びます。修復が不可能なほど深刻な理由がない限り、「やり直せるかもしれない」と思えたなら、諦めずに回避への道を探る意義は充分にあるでしょう。 あなた一人で考え込まず、必要に応じて周囲の協力を借りながら、自分にできる行動を積み重ねてください。
その努力が相手に伝わることで、離婚という最終手段ではなく、夫婦として再出発を切る未来が開けるかもしれません。焦らず慎重に、一歩ずつ、相手との対話と実行を進めていきましょう。

【記事監修】弁護士法人プラム綜合法律事務所・梅澤康二弁護士
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